臨床心理士が伝えたい心のお話

臨床心理士としての臨床経験から不安や苦しみを紐解いてみます

パニック

f:id:morinoyou:20180505162522j:plain

パニックに陥ると、それは言葉では説明しようもない、言葉に当てはめることができない現象が、自分の内部に起こる。

身体の中の警報器が発動し、感情のコントロールは不可能になり、

言いようもない恐怖感に襲われる。

理屈抜きに、逃れられない。

だから言葉にできるくらいの意識の状態で、

何も起こらないから大丈夫

見捨てられないから大丈夫

と説明しても励ましても、それは全く通用しない。

仮にそれでおさまるとしたら、それは一時的な対処療法で、

また同じような状況に置かれれば、再び警報器は発動する。

確かに、現実世界では恐れることは何も起きていない。日常の光景が当たり前のように流れているだけ。

だけど、自分の中に起こる破壊力はすさまじい。皮膚の表面がザワザワし、血の気が引き、心臓が縮み上がったような痛みを感じるかもしれない。

頭の中は、「どうしよう、どうしよう」が連呼し、どうしようもない恐怖や不安に飲み込まれる。

だからその度に、疲弊が積み重なる。

 

ではどうするか....

散々もがいた挙句にできることと言えば、ただその得体の知れない恐怖を感じ切るしかない。

自分の身体のどこに警報器が発動していて、それがどのように自分を追い詰めているか、思い切って感じることを選ぶ。

これはおそらく脳の認知不能の部分に関係する。
理性的な言葉は通用しない。

言葉にならない感覚には、言葉にしない感覚で向き合うしかない。
恐怖に飲み込まれている感覚をよく見てみる。

そしたらきっと、得体の知れない底知れぬ恐怖の影で、おびえた自分が顔を出すかもしれない。 

繰り返し受けた傷つきで、当たり前になりすぎて、それが思った以上に根深いものだと

気づいてすらいなかった自分の一部が姿を現わすかもしれない。

そしたら、ようやくそこから言葉を使って、始めていく。

無条件の肯定的理解で、それはいったいどんな自分なのか、知っていく。

 

自分ではどうしてか分からないけど、強く反応して抑えきれない衝動といったものがあります。

「攻撃する」「逃げる」「固まる」といった情動には、自分でもコントロール不能なほどの強烈なパワーを持つ類のものがあり、それゆえそのこと自体が恐怖や不安となって、アイデンティティや生活環境まで脅かしていきます。

ではなぜ強い情動がなぜ起こるかと言えば、自分を守るためです。すべては自分を守るためなのです。それこそが解決のためのヒントです。

 

*このブログは臨床心理士としての経験的側面から書いています。医学的根拠を上回るものではありません。

横浜市青葉区田園都市線沿い

カウンセリング&セラピールーム

森のよう

対面・スカイプどちらも可能です

詳しくは

https://morinoyou.com